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  • がらり
    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。
    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。

    がらり

    『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。

     2026年6月3日に“がらり”がEP『螺旋の街』を配信リリースしました。3月リリースの楽曲「春を盗んで」のほか、東海ラジオのプロジェクト『TOKAI RADIO ONE ARTIST 2026!』のプッシュ曲「シャイなボーイ」、ドラマ『100日後に別れる僕と彼』オープニング主題歌「単純ないきもの」など計5曲を収録。都会を舞台に、孤独や逃避への衝動と諦念、受容といった感情がリレーのように表現されたEPとなっております。    さて、今日のうたではそんな“がらり”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第1弾は、収録曲「 シャイなボーイ 」にまつわるお話です。人間の“こじらせ”を切り取ったこの歌。主人公が内面に抱えている矛盾とは…。 『趣味:人間観察』は『私はあなたのことを色眼鏡で見ています』という宣言に等しい。   やや極論に振り切れているかもしれないが、それが悪いという話ではない。 人は誰しも、大なり小なり差はあれど他人を眺めては分類し、勝手に自分の中の偏見を振りかざして気ままな物語をぶつけているのだ。   あのタイプの服装の人は、根明で人知れず周りを振り回すキャラクターだ。 あの飲み物を手に持って歩く人は、流行に流されて自分がないのだろう。 あの表情を浮かべる人は、難しいことは何一つ考えずに生きてきたに違いない───。   「シャイなボーイ」という曲で描かれた主人公は、間違いなく『趣味:人間観察』というタイプだ。 彼は他人に暴力的に視線を投げかけるが、他人からの視線にはことさらに弱いのである。   都会暮らしに少しずつ順応した主人公は、自分は他人を見抜いていると思っている。 だが、自分が他人によって見抜かれることには耐えられない。 「独りきりこそ僕を/暖める子守唄」と宣言し、孤独を愛す高潔な存在であるとの自認を示す。 しかし、歌詞のムードからは彼の内面にある寂しさが隠し切れていない。   落ちサビの「どこにも置いて行かないでよ」は彼の心から不意に漏れた無防備な本音である。 どこまでも他者や自分を茶化し、分類し、あらかじめ傷つかないための言い訳を重ねてきた主人公。   実のところ、彼は孤独を愛しているのではない。 孤独に耐えるために、孤独を愛しているふりをしていただけなのだ。   あらゆる人が内包する「こじらせ」をありのまま切り取った本作。 「シャイなボーイ」が内面に抱える矛盾は、あなたの中にもあるのではないでしょうか。 <がらり> ◆紹介曲「 シャイなボーイ 」 作詞:がらり 作曲:がらり ◆EP『螺旋の街』 2026年6月3日配信リリース   <収録曲> 01. シャイなボーイ 02. 春を盗んで 03. レンズ 04. 箱庭ダンス 05. 単純ないきもの

    2026/06/05

  • yonige
    しがないふたり
    しがないふたり

    yonige

    しがないふたり

     2026年5月27日に“yonige”がニューシングル『芽吹くとき』をリリース。タイトル曲は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌です。yonigeらしいざらついた肌触りのギターやベースがリードしていく、春らしい暖かくも爽やかな曲調に、<君がいる明日がいいなって思っていたって変えられない伝えなくちゃ>という歌詞が印象的な楽曲。Vo.牛丸による肯定的なメッセージが込められております。    さて、今日のうたではそんな“yonige”の牛丸ありさによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回は、楽曲「 しがないふたり 」にまつわるお話です。別れの直後に書いた歌。相手に対する感情のみならず、その視線が向く先は…。 このコラムの 第1弾 は、過去をひっくるめて30歳のときに書いた恋愛の詩。 第2弾 は、20代半ばに経験した壮絶な恋愛の終わりがけに書いた詩。 今回は、その恋愛を経験する前の22歳の時に書いた詩、「 しがないふたり 」について書く。   この曲を聴くたびに思う、気持ちがなくなったときの自分は容赦なく辛辣だ。 こっぴどい別れ方をして、その直後にあんな詩を書いて世の中に発表するのだから。   しかし相手のことばかり刺して終わる詩を書かないのが、yonigeの特徴だと私は思う。 昔から、相手への怒りや不満、冷めていく感情を書きつつ、一方で自分のことも同じように、冷めた目線で俯瞰し内省している詩が多い。   これは私自身が、他人に辛辣であると同時に、自分にも同じだけ辛辣だったからだ。 yonigeのメンバーであるごっきんは真逆で、周りにも自分にもとびきり優しいから、“自分を愛せないと人を愛せない”という言葉はガチだということを、私は身をもって知っている。   「音楽は10代のバカなうちに始めたほうがいい」、と誰かが言っていた。 その通りで、大人になって冷静になってしまってからじゃ初期のあんな恋愛の詩は一生書けなかっただろう。 もしこのコラムを、ミュージシャンを志してる人が読んでいるとしたら切実に伝えたい。 1日でも早く、君の恥ずかしい作品を世の中に発表するべきだ。   P.S. 今回のEPをリリースするにあたって、英題もこだわった。 しがないふたりの英題は“Unpoetic Romance” 直訳したら“詩にはならないような恋愛” 詩がない、ふたり   <yonige・牛丸ありさ> ◆紹介曲「 しがないふたり 」 作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ   ◆ニューシングル『芽吹くとき』 2026年5月27日発売   <収録曲> 1.芽吹くとき 2.Don’t 3.Wet 4.しがないふたり(re-arrange ver.)

    2026/06/04

  • スピラ・スピカ
    よくばり
    よくばり

    スピラ・スピカ

    よくばり

     2026年6月3日に“スピラ・スピカ”がニューシングル「ちゅーんあっぷ☆」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『黒猫と魔女の教室』エンディングテーマ曲です。スピラ・スピカがこの春お届けする最光級なハッピーチューン。楽曲のもつ可愛らしさや楽しさを存分に表現した、ポップでカラフルな作品に仕上がっております。    さて、今日のうたではそんな“スピラ・スピカ”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 よくばり 」のお話です。wacciの橋口洋平による提供曲であり、七夕をテーマにしたラブソング。この歌のワンフレーズを歌ったとき、自身が思い出したことは…。 “スピカ”は春の夜に青白く輝く一等星。 スピラ・スピカには、星にまつわる曲がたくさんあります。   そしてまた新たに、「よくばり」という曲が誕生しました。   wacciの橋口洋平さんに書き下ろしていただいたこの楽曲は、七夕の織姫と彦星の物語をモチーフにしています。   一年に一度、天の川を渡って会うことができる二人。 だけどその背景には、「会いたい」という気持ちだけではどうにもならない現実があって…。   この曲の中の二人も、現代ならではの寂しさや切なさを抱えています。 それぞれに夢や日常があって、その上で守りたいものがある。   会いたい。 できることならずっと一緒にいたい。 でも、自分の夢も諦めたくない。 相手の幸せも願っていたい。   誰かを大切に思うほど、人は少しよくばりになってしまうのかもしれません。   歌詞の中に登場する“青色の短冊”にも意味があります。   青は「仁」 自分自身を高めたり、周りの幸せを願ったりするときの色なんだそう。   あなたはあなたの夢 叶えてくの 私は 私の夢を叶える   このフレーズを歌っているとき、ライブに遊びに来てくれたいつもお世話になっている美容師さんが教えてくれたことを思い出しました。   開演前のフロアで聞こえてきた、近くにいるファンの皆の会話。 「スピラ・スピカのライブがあるから仕事を頑張れる」 「この日のためにしんどいことも乗り越えてきた」   すごく楽しそうに話していたよって。 それが本当に本当に嬉しくて。   ファンとアーティストって、不思議な関係だと思います。   お互いの人生を全部知っているわけじゃない。 それぞれ違う場所で、違う毎日を生きている。   でも、遠いようで近い。   だって、ひとつの歌を通して繋がることができたり、同じ気持ちになれたりするから。   音楽には目に見えない距離を越えていく力があるのかな。   嬉しい言葉をもらうたびに、ライブで皆の笑顔を見るたびに、歌ってきてよかったなぁと思います。 皆のおかげで、私も毎日頑張れるんだよ。   この「よくばり」という曲では、恋をする二人を描いています。 だけど同時に、この曲を聴いてくれる大切なファンの皆への気持ちも重ねています。   スピラ・スピカの音楽に出会ってくれたあなたが、明日も笑っていますように。今日より幸せでありますように。   今年の七夕は晴れたらいいな。 この日は特別に、いつもより少しよくばりな願い事でも許してね、神様。   <スピラ・スピカ> ◆紹介曲「 よくばり 」 作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平 ◆ニューシングル「ちゅーんあっぷ☆」 2026年6月3日発売 <収録曲> 1.ちゅーんあっぷ☆ 2.よくばり 3.ちゅーんあっぷ☆ -Instrumental-(通常盤のみ収録) 3.ちゅーんあっぷ☆ -TV ver.-(期間生産限定盤のみ収録)

    2026/06/03

  • androp
    残したいもの
    残したいもの

    androp

    残したいもの

      2026年7月15日に“androp”がニューアルバム『imperfect』をリリース!タイトル『imperfect』(インパーフェクト=不完全)には“完璧を作成しやすくなった時代、完璧を求められる時代、だからこそ迷い・傷・余白・時間の痕跡にこそ、生きている実感と美しさが宿る。”という想いが込められております。    さて、今日のうたではそんな“androp”の内澤崇仁による歌詞エッセイを2日連続でお届け。第2弾では、今作で自身が向き合っている「違和感を触り直す」、「余白を支える音」、「作品として残したいもの」というテーマについて綴っていただきました。 ・違和感を触り直す   制作を続ける中で、今までになく季節をテーマにした曲が多くなった。 春の「Mirai Bana」「Sakura Song」、秋の「Magic Hour」、冬の「Santa」。 同じ季節でも、毎年まったく同じ心象にはならない。 その違いに重なる言葉を想像しながら、一曲一曲と向き合っている。   制作の過程では、形になりそうなものを一度崩してみることがある。 意味は通っているし、流れも自然。それでも、どこか違うと感じる瞬間がある。 その違和感を見過ごさずにいると、一度整えたものを手放し、もう一度触り直すことになる。 そうやって、形になりかけたものを何度も行き来している。   ・余白を支える音   何を正解とするかは、自分でもはっきりとはわからない。 ただ、きれいに整ったものよりも、予定調和ではないものの方に耳が向くことが増えた。 例えば「Magic Hour」では、歌詞ですべてを説明しきらない形を選んだ。 心情を言い切って定義するのではなく、あえて言葉の余白を残した。 そのような余白を、わずかにずれているリズムや、揃いきらない声の重なりがそのまま支えてくれることがある。 言葉とメロディは、そうやって互いに支え合っているのだと思う。   伝わるように整えようとすれば、意味は明確になる。 でも、その分だけ削ぎ落とされてしまうものがある。 逆に、残しすぎると、今度はどこか嘘くさくなる。 その「あいだ」で、どこまで言葉にするかを探っている。 はっきりと言い切らないことで残るものもあれば、言い切らなければ届かないものもある。   その境目を探す作業は、思っているよりもはるかに時間がかかる。 andropで17年向き合い続けても、いまだにルールは見つからない。 他人から見れば、大きな違いではないかもしれない。 それでも、そのわずかな差の中にしか残らない体温があると感じている。   ・作品として残したいもの   録音した音を何度も聴き返していると、最初は気付かなかった言葉の引っかかりが浮かび上がってくることがある。 整っていないように感じた響きが、あとになって深く心に残ることもある。 何を残して、何を消すのか。 その判断の積み重ねが、このアルバムになっていく。 完成に近づいているのかどうか、自分でもわからなくなる瞬間がある。 一ヶ月悩んだものが、数分で決まることもある。 うまく説明はできないけれど、その迷いや感覚ごと、作品として刻みたい。 ようやく出口が見え始めてきたこのアルバムが、一人ひとりの中で、長く残り続けるものになることを願っている。   <androp・内澤崇仁>

    2026/06/02

  • androp
    imperfect=I'm perfect
    imperfect=I'm perfect

    androp

    imperfect=I'm perfect

     2026年7月15日に“androp”がニューアルバム『imperfect』をリリース!タイトル『imperfect』(インパーフェクト=不完全)には“完璧を作成しやすくなった時代、完璧を求められる時代、だからこそ迷い・傷・余白・時間の痕跡にこそ、生きている実感と美しさが宿る。”という想いが込められております。    さて、今日のうたではそんな“androp”の内澤崇仁による歌詞エッセイを2日連続でお届け。第1弾は今作『imperfect』で大事にしている「不完全という体温」について。言葉と音の「あいだ」のお話。そして、新曲「 Sakura Song 」に込めた思いを綴っていただきました。 ・違和感と向き合う   アルバム『imperfect』は、本来4月8日に届ける予定だった。 制作を進める中で、納得しきれない違和感と向き合い続けた結果、発売を延期することになった。 形としては整っているのに、どこかに名前のない違和感が残る。そんな実体のない何かと対峙する時間が今は続いている。 メンバーを含めたくさんの人を待たせてしまっているという申し訳なさと、それでも妥協はしないという、両方の気持ちがある。   ・不完全という体温   今回のアルバムは、今のandropの表現と、自分の中で変化してきた感覚をそのまま形にしようとしている。 タイトルである『imperfect』は、不完全という意味を持つ言葉。 昨今、AIの発達によって僕たちの生活は劇的に変わりつつある。 音楽の世界でも、曲を生み出すことや、リズムやピッチを整え、言葉を組み立てること自体は以前よりもずっと身近になった。だからこそ、その中で「何を残すのか」を、これまで以上に考えるようになった。   完全や不完全の定義は人それぞれ違う。それを前提としても、言葉であれば、完璧なものよりも少し揺れているものや、言葉になりきらないまま残っているもの。ピッチやリズムであれば、完全にクオンタイズされているものよりも、その「あいだ」で揺らいでいるもの。「完璧に整えること」だけでは表現できない感覚がある。   あえて「不完全」なままにしておくことでしか宿らない体温があるのではないか。完全になりきれない不完全な自分こそが、自分にとっての「完全」なのではないか。そんなことさえ思いながら、これまで以上に深く思考を巡らせている。   ・言葉と音の「あいだ」   思えば昔から、感情や景色を言葉にしようとするたび、その一部がこぼれ落ちてしまうような感覚がある。言葉にしなければ伝わらない。けれど、言葉にした瞬間に失われるものもある。その「あいだ」にある自分の正解を、メロディや音の響きで少しでも手繰り寄せたい。   前に書いた 「言葉の居場所」 という文章でも触れたが、消えかけている足跡や、自分でも忘れてしまいそうな感覚を、もう一度掘り起こして「言葉」という居場所に置き直したいと思うこともある。今回のアルバムにも、そんな葛藤の末に生まれる音楽を残したいと思っている。   ・「 Sakura Song 」という曲   制作が遅れているなか、本来アルバムを届ける予定だった日に「Sakura Song」をリリースすることにした。エンジニアやデザイナー、スタッフが日程を調整して、この曲をこのタイミングで届けられるように動いてくれた。   andropとして、これまでいろんな場所で音を鳴らしてきた。 桜もまた、時期は違えど日本の中を巡っていく。 別れや旅立ちの季節の中で、その先でまた笑い合える未来までをこの曲に込めた。会いたいと願う気持ちや、揺れながら進んでいく時間もそのまま音に残した。 言葉にできなかった想いは消えてなくなるのではなく、そのまま時間の中に溶けて残っていくのだと思う。それぞれの場所で、それぞれの時間を過ごしている人に、この曲が重なってくれたらと思う。   アルバムを掲げた5月からのツアーでは、今のandropとして鳴らせる音を一つひとつの場所で届けていきたい。   「Sakura Song」がその先で出会う景色に繋がっていくのを楽しみにしている。   <androp・内澤崇仁> ◆紹介曲「 Sakura Song 」 作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

    2026/06/01

  • オレンジスパイニクラブ
    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。
    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。

    オレンジスパイニクラブ

    好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。

     2026年5月27日に“オレンジスパイニクラブ”が新曲「口」を配信リリースしました。同曲は、7月3日より全国公開される映画『口に関するアンケート』のインスパイアソング。オレンジスパイニクラブにとって初の映画タイアップとなり、スズキナオト(Gt.&Cho.)が楽曲制作を手掛けました。    さて、今日のうたではそんな“オレンジスパイニクラブ”のスズキナオトによる歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 口 」にまつわるお話です。ホラーには慣れていたはずの自身が、映画『口に関するアンケート』により恐怖を感じた理由は…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。 ホラー映画をよく観る。 父も母もホラー映画が好きで、小さい頃からその影響を受けていたからか、ホラー映画には怖さだけではなく、安心感や懐かしさ、みたいなものを感じる。   ただ、今回の『口に関するアンケート』は、恐怖の割合がものすごく高かった。 なぜだろうと考えたんだけど、多分<アンケート>という形式がまず怖いんだよな。 普段、映画を観るとき、自分は映画の外にいる第三者で匿名で安全なはずなのに、「アンケートに答える」という形式のせいで急に他人事じゃなくなるというか、「やべー巻き込まれたな」という気持ちになる。   「お、おれは関係ないからな...!」 という気持ちでずっと観ることになるし、ホラー映画において、こういう無責任で逃げ癖があるやつは高確率で死ぬ気がするな、、、とか色々考えて勝手に追い詰められていった。   あと「口に関する」の部分も身近で怖い。 僕みたいに失言に失言を重ね、「なんであの時あんなことを言っちまったんだ...」が頭んなかでグルグル。 眠れない夜が増えた増えた。 “口は災いの元”とはよく言ったもんで、 身に覚えがありすぎる僕はこの部分にもガッツリやられてしまった。   好きも嫌いも本音も嘘も、全部口から出る。 今回の楽曲「口」はそんな言葉の不安定さや脆さにフォーカスを当てて詩を書いた。   自分なりの言葉ももちろんあるけど せっかくのインスパイアソング。 出来るだけ作品の世界観に寄り添えるように言葉を選んでいったので、映画を観る前と観た後では、浮かぶ情景の解像度が違って見えると思います。   映画と合わせて、いっぱい聴いてください!!   <オレンジスパイニクラブ・スズキナオト(Gt.&Cho.)> ◆紹介曲「 口 」 作詞:スズキナオト 作曲:スズキナオト

    2026/05/29

  • yonige
    愛しあって
    愛しあって

    yonige

    愛しあって

     2026年5月27日に“yonige”がニューシングル『芽吹くとき』をリリース。タイトル曲は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌です。yonigeらしいざらついた肌触りのギターやベースがリードしていく、春らしい暖かくも爽やかな曲調に、<君がいる明日がいいなって思っていたって変えられない伝えなくちゃ>という歌詞が印象的な楽曲。Vo.牛丸による肯定的なメッセージが込められております。    さて、今日のうたではそんな“yonige”の牛丸ありさによる歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は、アルバム『Empire』収録の「 愛しあって 」にまつわるお話です。地獄のような恋愛の真っ只中にいたとき、赤裸々な歌詞を書けずにいた、その理由とは…。 前回 の題材、「芽吹くとき」は20代の恋愛を経て、30歳になった自分が書いた恋愛の詩だった。 今回は、2年前の29歳の時に出したアルバム『Empire』収録の「 愛しあって 」について。 まさに自分の20代の一番大変だった恋愛が終わる少し前にリリースしたアルバムだ。   どれくらい大変だったかと言うと、地獄と形容したいほどだが、その地獄の真っ只中で詩を書こうとしても、なかなか赤裸々な詩が書けずにいた。   なぜなら自分の気持ちを形にして世に出したら、過去になるからだ。 “詩に残したら終わる”と、なんとなく肌感でわかっていた私は、直接的な自分の気持ちの詩をずっと書けないでいた。   でもやっぱり、yonigeの作詞者でいる以上、自分のリアルを避けて過ごすことはできない。 そこで一番最初に書いたのが「愛しあって」だった。   そしてリリースした数ヶ月後に、その恋愛は終わった。   作詩というものは本当におもしろい。 詩を書いているとき、潜在意識に深く潜り込むと、顕在意識の自分からは出てこない言葉が見つかったりする。 潜在意識ではもうわかっていたんだろう、この恋愛の先がもう長くないことを。 P.S. この話を踏まえた上で、『Empire』の他の収録曲も聴いてもらえたらおもしろいと思います。   <yonige・牛丸ありさ> ◆紹介曲「 愛しあって 」 作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ ◆ニューシングル『芽吹くとき』 2026年5月27日発売   <収録曲> 1.芽吹くとき 2.Don’t 3.Wet 4.しがないふたり(re-arrange ver.)

    2026/05/28

  • なきごと
    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ
    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ

    なきごと

    ただ君がここにいるだけでそれでいいよ

     2026年5月20日に“なきごと”がニューシングル「204号室」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『彼女、お借りします』第5期エンディングテーマです。初回生産限定盤と期間生産限定盤の2形態を同時発売。初回生産限定盤には「204号室」と「甘々吟味」(Glico「ポッキー」CMキャンペーンソング)の2曲を収録。期間生産限定盤は、キャラクターデザイン・平山寛菜による描き下ろしジャケット仕様となっております。    さて、今日のうたでは“なきごと”の水上えみりによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回です。綴っていただいたのは、とある曲のお話。“夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。” このシチュエーションからあなたはどんな景色を思い浮かべますか…? 3週連続で担当させていただいたこの歌詞コラムも今週でラスト…! 私が曲や歌詞を作るときに大切にしていることなど、 伝わってきたのではないでしょうか…!   改めて、この度なきごとは、『204号室』というSingleのCDをリリースしました。 なきごとを好きでいてくれているあなた 初めて出会ってくれたあなたにしっかりと届きますように。   _______________________________   私は、その人の表現を感じることがとても好きだ。 曲をアレンジするときや、MVやアートワークの相談をする時間。   歌詞を見て、曲を聴いて、その人がどう思ったか、 その上でどういう表現をするのかに興味がとてもある。   とある曲の話。   “夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。”   このシチュエーションが頭に浮かぶような音にしたい。 アレンジの時にもRecの時にもそんなオーダーをした。   補足をすると歌詞の中のこのふたりは、 指でしーっと指を立てるポーズをして、笑い合っている。   さて、あなたはどんな景色を思い浮かべるだろうか。     例えば…   「男女ふたり、一緒に歩く帰り道。 お互いの気持ちを交換し合って、ひとつになった。 クラスのみんなには内緒のふたりだけの秘密。」   だとか、   「友達ふたりで歩く帰り道。 あんなところへ行こうと計画を立てている。 先生ないし、親には内緒のふたりだけの秘密。」   とか。   「男女ふたり、最後の帰り道。 好きなだけじゃ一緒にいられないお互いの気持ちにふたをした。 そんなふたりだけの秘密。」   だったり、   「親子ふたりで帰る帰り道。 アイスを溢さないように食べる。 夜ご飯前に食べたら怒られてしまうだろうから これはふたりだけの秘密。」   とかね。     今一度、あなただったらどんな光景を思い浮かべるでしょうか。   この曲は、聴いた人それぞれの   “夕暮れ、河川敷、ふたり、手を繋いで歩く帰り道。”   を想像してほしくて、あえて主人公を決めない方法で制作を進めました。   存在する記憶でも、しなくても、 聴く人に情景を委ねた楽曲というのは、 歌詞をひとつ基軸に置いて、 この作品に関わる私以外の人間全員が、 各々の解釈でこの作品の色を塗ってくれるような、 そんな感覚になるのです。     そんなこの曲のサビの歌詞は   “誰にも言えないふたりの秘密が 増えてくみたいで なんか愛しくなるよな いつかはふたりと呼べなくなったとしても 今君がここにいるだけでそれでいいよ”   あなたはどんな景色、情景を思い浮かべてくれるだろうか。 あなたが最後に付けてくれて完成される曲になりますように。   _______________________________   3週間お付き合いいただきありがとうございました!   <なきごと・水上えみり> ◆ニューシングル「204号室」 2026年5月20日発売

    2026/05/27

  • Conton Candy
    レイニーデイ
    レイニーデイ

    Conton Candy

    レイニーデイ

     2026年5月20日に“Conton Candy”がMajor 1st Full Album『すっぴん』をリリースしました。今作には、全14曲を収録。メジャーデビュー以降に発表された楽曲の中から、タイアップ楽曲5曲を含む6曲をセレクトし、さらに「レイニーデイ」をはじめとする新曲8曲を加えた構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“Conton Candy”による歌詞エッセイを3回連続でお届け。最終回は彩楓が執筆。収録曲「 レイニーデイ 」のお話です。さまざまな感情とともにある雨。雨の日を思い出してみたとき、心に残っている記憶は…。 雨は、時にはキラキラ綺麗に見えたり、時には靄がかかって何も見えないように思えたり、時には洗濯物が干せなくてイライラしたり、時には一緒に泣いてくれているような気がしたりする。   私は雨女のせいか、実際、家を出る時に雨が降り出すことが多い。行事ごとだって中止になったり、片方の手が傘で塞がってしまうから不自由だなー、と思ったり。なんといったって言葉に出来ないような気分の下がりようを感じる日が多かった。 雨の日だ、憂鬱だなあ、と。   でも、辛い考え事をして眠れない雨の日の夜。屋根に当たる雨粒の音が、私と一緒に泣いてくれているような気がした。私の辛さなんて、涙の量なんて、比にならないほどの空からの涙。 なんか、辛いことでもあった?とこちらが聞きたくなるほど、一緒の気持ちでいてくれるような気がした。   大好きな君と同じ傘に入れる日だって、雨の日だ。   そんなことを思ったら、 いろんな感情が寄り添っている、雨。   キラキラ、髪とまつ毛についた霧雨。 大切で仕方ない君と2人で歩く。 ただ、このまま君といて幸せでいられるのかな。 ふと、そんな感情が浮かぶ。 続く道。ぼやけて見えたまま、手を繋いで歩いた日。   思い返して1人、モヤモヤして、どこか憂鬱になる。 また雨の日、ぼーっと信号待ち。 ズボンの裾が濡れて気持ち悪いなあ。 ただ、交差点の地面に落ちる雨粒と、反射するヘッドライトが美しい。 立ち止まる。私はどこに向かっているのだろうか。   雨の日。 あの時、繋いだ手を思い出す。 降り頻る雨が、移り変わる景色と感情を映し出す。 君と一緒にいて、その反面、本当は寂しかった。   きっと誰かもこうして、 人知れず、キラキラ涙を流すようなレイニーデイ。   これからも続く長い道。 わたしたちの足取りは、これからも続く。 心に雨が降った日の、あなたの人生に寄り添える一曲になりますように。   <Conton Candy・彩楓> ◆紹介曲「 レイニーデイ 」 作詞:Conton Candy 作曲:Conton Candy ◆Major 1st Full Album 『すっぴん』 2026年5月20日発売   <収録曲> 1.すっぴん 2.レイニーデイ 3.Rookies 4.思い出は海風のように 5.普通 6.何ら変わりない1日から 7.恋 8.フルムーンライクアキャットアイ 9.スノウドロップ 10.傷 11.OTAGAISAMA 12.ライブハウス! 13.国道20号 14.Touring  

    2026/05/26

  • Conton Candy
    国道20号
    国道20号

    Conton Candy

    国道20号

     2026年5月20日に“Conton Candy”がMajor 1st Full Album『すっぴん』をリリースしました。今作には、全14曲を収録。メジャーデビュー以降に発表された楽曲の中から、タイアップ楽曲5曲を含む6曲をセレクトし、さらに「レイニーデイ」をはじめとする新曲8曲を加えた構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“Conton Candy”による歌詞エッセイを3回連続でお届け。第2弾は楓華が執筆。収録曲「 国道20号 」にまつわるお話です。大好きなのに、別れへ向かっていく恋のなか。言葉にできない感情と孤独を抱えながら、今思うことは…。 真夜中走り出す国道20号 私はこの道が逃げ道だった 君といない時の思い出がほとんどだ 幸せで、解放されて、でも辛い 君はいないのに、君からの逃げ道だから 頭は君でいっぱいだった   国道20号 深夜でも走り続ける車たち 酔っ払った人、明日のことを考えて歩く人、幸せそうな恋人たち。 誰といても、どうしても私は孤独だった   見上げた東京の空は曇っていて 全く綺麗じゃなかった 国道20号のオレンジのライトを眺めると、わたしの目からはいきなり雨が降ってきたように大粒の涙がこぼれた   綺麗だな どうしてこう思ったのかは分からない こんな気持ちも季節も 頭の中いっぱいになっている君のことも いずれ恋しくなるんだろうな   さようなら この言葉を伝えた時の気持ちに名前は付けられない さようなら それぞれの道へ それでも、心の距離で繋がっている。   __   「愛を伝えることで何となく続く日々 本当の気持ちはどこ?」   好きな人と時間を重ねていくごとに、伝えることが上手くなるどころか下手になってゆく 複雑になった感情は、伝えることが苦手な私にとってさらに上手く言葉にできない おやすみ、だいすきはすぐに伝えられるのに。   その気持ちも本心? 自分の中で考えては、苦しくなってゆく   先を歩く君と後ろを歩く私 二人の世界は壊れ始めていると感じる私と、目の前に広がる私のいない世界を見ている君 その目にはいったい何が映っているのだろう   見えない喉の蛇口は詰まって、とても苦しい ひねり出せば、何かが変わる?   大好きなのに、離れていく。 不器用な私と君の曲   <Conton Candy・楓華> ◆紹介曲「 国道20号 」 作詞:Conton Candy 作曲:Conton Candy ◆Major 1st Full Album 『すっぴん』 2026年5月20日発売   <収録曲> 1.すっぴん 2.レイニーデイ 3.Rookies 4.思い出は海風のように 5.普通 6.何ら変わりない1日から 7.恋 8.フルムーンライクアキャットアイ 9.スノウドロップ 10.傷 11.OTAGAISAMA 12.ライブハウス! 13.国道20号 14.Touring  

    2026/05/25

  • Conton Candy
    思い出は海風のように
    思い出は海風のように

    Conton Candy

    思い出は海風のように

     2026年5月20日に“Conton Candy”がMajor 1st Full Album『すっぴん』をリリースしました。今作には、全14曲を収録。メジャーデビュー以降に発表された楽曲の中から、タイアップ楽曲5曲を含む6曲をセレクトし、さらに「レイニーデイ」をはじめとする新曲8曲を加えた構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“Conton Candy”による歌詞エッセイを3回連続でお届け。第1弾は紬衣が執筆。綴っていただいたのは、収録曲「 思い出は海風のように 」のお話です。忘れられない景色や感情、記憶に対して、自身が思うことは…。 「痛いほど眩しい太陽」の下で、私は毎年、繰り返すようにあの夏を思い出す。   「洗濯物は乾くのが早い」かもしれないけど、私の気持ちは乾き切らないまま。   もう一回洗い直して乾かすのを「めんどくさいなあ」と思うのは、きっとそれを言い訳にしているだけなのかもしれない。   忘れたいけど忘れられない、そんな私の思い出は、一体いつになったら離れてくれるんだろう。     毎年7月に横浜で開催され、お世話になっている「ムロフェス」というイベントがあります。   Conton Candyも、もう2年連続でお世話になっていて、私はこの日に必ず大きな感情をもらいます。   いつ見てもかっこいい先輩、今日はどんなライブをするんだろうと期待する同期、自分らも頑張らなきゃと思わせられる後輩。   海のそば、赤レンガ倉庫の横。どこにいても、自分が信じて良かったと思える音楽しか鳴っていない日。   そんなイベントの最中、海風に乗ってきた、しょっぱくて懐かしい香りが、私に思い出させる。   そんな自分の思い出とムロフェスの景色を混ぜ合わせながら描いた1曲。     みんなは忘れられない人はいますか?   忘れたと思っていても、ふとした時の香りとか、見た景色とかから思い出したりしませんか?   それが弱さだというなら、私は弱いままでもいいのかもしれない。   思い続けていた時間も、剥がれない記憶も、全てがずっと私のもの。   悔しいけど、ずっと私のもの。     今までもこれからも、受け取った感情も全て、私の思い出は海風のように。   <Conton Candy・紬衣> ◆紹介曲「 思い出は海風のように 」 作詞:Conton Candy 作曲:Conton Candy ◆Major 1st Full Album 『すっぴん』 2026年5月20日発売   <収録曲> 1.すっぴん 2.レイニーデイ 3.Rookies 4.思い出は海風のように 5.普通 6.何ら変わりない1日から 7.恋 8.フルムーンライクアキャットアイ 9.スノウドロップ 10.傷 11.OTAGAISAMA 12.ライブハウス! 13.国道20号 14.Touring  

    2026/05/22

  • yonige
    芽吹くとき
    芽吹くとき

    yonige

    芽吹くとき

     2026年5月27日に“yonige”がニューシングル『芽吹くとき』をリリース。タイトル曲は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌です。yonigeらしいざらついた肌触りのギターやベースがリードしていく、春らしい暖かくも爽やかな曲調に、<君がいる明日がいいなって思っていたって変えられない伝えなくちゃ>という歌詞が印象的な楽曲。Vo.牛丸による肯定的なメッセージが込められております。    さて、今日のうたではそんな“yonige”の牛丸ありさによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。第1弾はタイトル曲「 芽吹くとき 」にまつわるお話です。自身にとって、もっとも居心地のいい自分でいられるのは、恋愛をしているとき。その理由とは…。ぜひ、歌詞とあわせてエッセイをお楽しみください。 人はそれぞれ、居心地のいい自分でいられる場所があるはず。 家族といるとき、親友といるとき、ライブをしているとき、旅をしているとき。 わたしにとってのそれは、恋愛だった。   普段わたしは、感情や言葉を外に出すのが極端に下手。 だいたいの人に近づきがたいと思われるし、「なに考えてるかわからない」はもう一生分言われてきた。 人との関わり方の失敗に気づいてはひとりで反省して、失敗を繰り返さないよう少しずつ感情の引き出しに鍵をしていったら、この有り様。   しかし恋愛の前ではその鍵がすべて取っ払われる。 私の変なプライドや自意識は、恋愛の前では機能しなくなる。 その時の自分が他のどんな自分よりも居心地がいい。 だからわたしはずっと恋愛をしているのだと思った。   人が成長できる時というのは、変なプライドや自意識が取っ払われてピュアな自分でいる時だ。 私は今31歳で、ある程度の恋愛はし尽くし、20代の自分とは比べものにならないほどに成長した。   そんなタイミングで書いたのが今回の新曲、「芽吹くとき」だった。   <yonige・牛丸ありさ> ◆紹介曲「 芽吹くとき 」 作詞:牛丸ありさ 作曲:牛丸ありさ  ◆ニューシングル『芽吹くとき』 2026年5月27日発売   <収録曲> 1.芽吹くとき 2.Don’t 3.Wet 4.しがないふたり(re-arrange ver.)

    2026/05/21

  • なきごと
    人を想うということ
    人を想うということ

    なきごと

    人を想うということ

     2026年5月20日に“なきごと”がニューシングル「204号室」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『彼女、お借りします』第5期エンディングテーマです。初回生産限定盤と期間生産限定盤の2形態を同時発売。初回生産限定盤には「204号室」と「甘々吟味」(Glico「ポッキー」CMキャンペーンソング)の2曲を収録。期間生産限定盤は、キャラクターデザイン・平山寛菜による描き下ろしジャケット仕様となっております。    さて、今日のうたでは“なきごと”の水上えみりによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 第2弾は、タイトル曲「 204号室 」にまつわるお話です。作品へ向けて書き下ろしをする際、自身が大切にしていることとは。そして、『彼女、お借りします』の原作を読み終えて心に残ったものは…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイをお楽しみください。 M-1「 204号室 」ライナーノーツ   恋をした時。 相手を想う気持ちと同時に、 自分への自信のなさで不安になる。   でも、少し期待している自分もいて、 あの子のためならなんだってやれる気がしてくる。     へっぽこな僕かもしれないけれど 君にとってのヒーローでありたい。   僕になにができるかと言われると なんだか不安になるけれど ただ、僕にできることと言えば 君のことを想うことだろうか。     大袈裟なように聞こえるかもしれないけれど 君が誰かに攻撃をされていたら駆けつけに行く、 君が孤独を感じたらそばにいたいし、 君にはできるだけ笑っていてほしいし、 君が流す涙は、悲しみからくるものじゃないといい。   君の隣にいて、君を守っていいのは、 他の誰でもなく僕がいい。 僕は君のことがどうしようもなく…     総じて僕の好きは   “君を守りたい”   といったところだろうか。   _____________________   「204号室」という曲をかいた。   『彼女お借りします。』ラストシーズンの エンディングテーマとして書き下ろしを担当させていただいた曲。   作品へ向けて書き下ろしをする時、水上は原作を大事にしたいと思っている。 この作品の場合、最新話までの漫画を読んでから歌詞をかきはじめた。   というのも、やはり、自分が好きなアニメをみた時、 この曲の作者は原作読んでいる、と伝わってくると純粋に嬉しい。   漫画からアニメになった時も、 アニメ見終わった後に原作を読んだ時でも、 やはり原作を読んでいるか、そこに愛が詰まっているかは、 そのファンなら一聴して歌詞をみたらわかるものだったりする。   だからこそ、自分が関わる作品には、 原作ファンもアニメファンにも、原作者の方にも、 納得のいってもらえる作品になるよう たくさん勉強をしてから、向き合うようにしている。   ちなみに204号室は、作中に出てくるヒロインの部屋番号であり、 私自身も過去に204号室に家族で住んでいた経験があるため、 思い入れの強いタイトルになった。 作品には水上と同じ誕生日の隣人が出てきたり… 正直、読んでいるうちに登場人物への愛着が湧いてきて、 展開が気になってしまってあっという間に読み終えた。   やはり読み終えて心に残ったのは、 “人を想うことの尊さ”だ。 言語化するには勿体無いほどの、 胸に込み上げてくる感情を音に閉じ込めたいなと思った。   きっと、そんな作品を書き下ろすことができたと思う。   友達のバンドマンが書き下ろし担当したアニメも、 どんな作品にどんな詞を、曲を、つけたのかを見てみるのも面白い。   なぜその曲になったのかまでを想像するのも (友達にキモいと思われないか心配) 書き下ろしの醍醐味だとおもう。   そんな目で、今まで聴いてきたタイアップソングを 聴いてみるのも面白いかもしれませんね。 ふふ、おすすめの楽しみ方です。   あなただったら、この作品にどんなイメージを持つか、 色、匂い、見せたい景色、心情? 想像して、誰にも見せないロックをかけたメモ帳に ひっそりとかいてみるのも面白いかもしれないですね。   いつか見せてくださいね。ふふ。   今週は「204号室」についてでした! 次で早くも最終回…!来週もぜひお付き合いください!   <なきごと・水上えみり> ◆紹介曲「 204号室 」 作詞:水上えみり 作曲:水上えみり  ◆ニューシングル「204号室」 2026年5月20日発売

    2026/05/20

  • 五十嵐ハル
    ノイズ
    ノイズ

    五十嵐ハル

    ノイズ

     2026年5月20日に“五十嵐ハル”が新曲「ラヴノイズ」をリリース! 同曲について五十嵐ハルは、「触れ合うたびに、満たされるより先に欠けていくものがある。それでもその一瞬に縋ってしまうような、どうしようもなく不器用な愛を書いた曲です。終わりを知りながら踊ってしまうような心をそのまま歌にしました。」とコメントしております。    さて、今日のうたではそんな“五十嵐ハル”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 ラヴノイズ 」にまつわるお話です。自身が「愛」について考えてみたとき、切り離せない「ノイズ」の存在。唯一の答えなど存在しないからこそ、この歌で描いた“ほんの数ミリ”の感情とは…。 「ノイズ」という言葉は、本来なら愛とは真逆の場所に置かれているはずなのに、実際は驚くほど近くに潜んでいる気がする。 むしろ愛の隣にいるというより、最初から背中合わせで縫い付けられているものなのかもしれない。 好きになればなるほど、不安や疑い、嫉妬や執着みたいな雑音が増えていく。なのに人は、そのノイズごと愛だと呼んでしまう時がある。   「愛は綺麗なものだ」と言い切れる人を見ると少し羨ましくなる。 僕にはどうしても、その綺麗な輪郭の周りで鳴り続ける耳鳴りみたいなものが聴こえてしまう。 でもきっと、そのノイズが聴こえなくなることを「盲目」と呼ぶのかもしれないし、逆にノイズばかり拾ってしまうことを「大人になった」と呼ぶのかもしれない。 結局どちらが正しいのかは分かっていない。   愛について語る人は昔から山ほどいる。 小説も映画も歌も、みんな愛を説明しようとしている。 それなのに未だに、全員が同じ顔で頷ける答えはどこにもない。 たぶん愛は、定義した瞬間に少し腐ってしまうものなんだと思う。 だから僕らは、それぞれの痛みや記憶を定規代わりにして、曖昧なまま愛を測っていくしかない。   何が正解で、何が間違いなのか。 誰が幸せで、誰が不幸なのか。 そんなものはほんの数ミリのズレで簡単に反転してしまう。 昨日まで救いだった言葉が、今日は誰かを傷つける凶器になることもある。   この曲に入っているのも、そんな無数にある愛の中の、ほんの数ミリ分の感情だ。 できれば一生、知らないままでいたかった種類のものだ。   <五十嵐ハル> ◆紹介曲「 ラヴノイズ 」 作詞:五十嵐ハル 作曲:五十嵐ハル

    2026/05/19

  • yuzen
    月の裏側
    月の裏側

    yuzen

    月の裏側

     2026年4月29日に“yuzen”がデジタルシングル「月に隠して」をリリースしました。今作は、大切な人との日常の一瞬一瞬の輝きを、誰にも触れられない“月の裏側”に隠して2人だけの秘密にしておきたい、というロマンティックな世界が描かれた楽曲。yuzenが紡ぎ出す“煌めきと高揚感がありつつも、どこか切ないバンドサウンド”は、ささやかな幸せと儚さが同居する世界を描き出しております。    さて、今日のうたではそんな“yuzen”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「月に隠して」にまつわるお話です。自身の音楽論について。そして、「月」と「永遠」をテーマにしたこの歌で、描いた思いとは…。 「月に隠して」という楽曲をリリースさせていただきました。 この曲は元々2年前、ワンコーラスをひたすら作り続けるという作業の中で生まれたものです。 僕は「宇宙」「月」「星」にまつわるものに昔から惹かれていて、気づけばそんなテーマの曲ばかりを紡いでしまう癖があります。 その中で今回のテーマは「月」と「永遠」。 最初は「月に重ねて」というタイトルで書き始め、歌詞はサビ頭の<くだらない話>という一節だけを残して、他をすべて書き換えました。   ここで少し、僕の音楽論について。 音楽を作るときに意識しているのは、“メロディ”と“語呂”です。 きっとそのフレーズは、その言葉とそのメロディ以外では成立しない――そんな感覚に導かれているのだと思います。 1サビの頭は、最初からそうしようと決めていました。   歌詞や言葉遣いにもこだわっていますが、もうひとつ大切にしているのが“Cメロ”の存在です。 僕はそれを勝手に“ニューメロ”と呼んでいるのですが、Aメロ、Bメロ、サビと進んだ先に、新しく視界がひらけるようなサウンドとメロディを差し込むことで、変化と余韻、そして感動が生まれる気がしています。 もしかしたら、昔から聴いてきた音楽の中で、その構成が自然と身体に染みついているのかもしれません。   長くなってしまいましたが、最後にこの楽曲の物語について少し。   どんな物語にも、きっと終わりはあって、「永遠」はどこにも存在しない。 だからこそ今この瞬間、些細なことで笑い合ったり、くだらない話を交わしたりする時間さえも、かけがえのない光として胸に残るのだと思います。 世界の長い歴史から見ればほんの一瞬かもしれないけれど、あなたと過ごしたこの日々を、二人だけの秘密として、そっと月の裏側に隠してしまおう――そんな想いを込めて、最後の歌詞を書き、その一節をタイトルにしました。   「永遠」に対する想いは人それぞれで、そうした小さな価値観を分かち合いながら、人は生きていくのだと思います。 それは曲の中の二人だけでなく、この曲を聴いてくれるすべての人にもきっと重なるはずです。   「月に隠して」。 この楽曲が、誰かの夜にそっと寄り添い、静かに届いていくことを願っています。   <yuzen>

    2026/05/18

  • 椎名慶治
    日常パート
    日常パート

    椎名慶治

    日常パート

     2026年5月27日に“椎名慶治”が4th Mini Album『I & key EN III』をリリース!ソロ活動15周年記念。2014年にリリースされたミニアルバム『I & key EN II』から12年、その続編に当たる今作。合縁奇縁、愛縁機縁。人と人との不思議な巡り合わせの縁。今までに出会った音楽・人=縁によって培った音楽感を自由に詰め込んだアルバム。50歳を迎え、さらにパワーアップしたボーカルは要注目です。    さて、今日のうたではそんな“椎名慶治”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回は収録曲「 日常パート 」にまつわるお話です。作詞家・野口圭と共作で作り上げた歌詞。日常に潜む“特別”を描いた1曲が、どのようにして生まれたのか、その軌跡を明かしていただきました。 名曲と呼ばれる曲の歌詞は大概ラブソングである。   かの有名な音楽評論家であるホボ・ラブソンが生前残した言葉。(嘘)   どんなジャンルであろうが良い曲を作る!なんて当たり前の事。   それでも名曲と呼ばれる曲はラブソングが大半。   しかし!ヒット曲はラブソングとは関係ない。   悔しいぐらいにタイアップ命である。   団子の兄弟なだけでもミリオンになる。   サビでヤーヤーヤーと言ったり、ラララと言ったりWow wow言うだけでミリオンもある。(超語弊アリ)   それでも名曲と呼ばれ長く愛される曲はラブソングが本当に多い。   そんな長く愛される、名曲が生まれてしまいました。(まだ分からんだろうが)   日常の大切さ、当たり前と言える幸せ、忘れがちなモノを思い出させてくれる歌詞だなぁと。   何故少し他人行儀なのかと言うと、この曲の歌詞は共作であり、キッカケ作りはもう1人の作詞家である野口圭(以下野口)が描いたものだからである!   よく考えてみて?   もし俺がラブソングが得意ならもっと売れてるよ!(あながち違う!と言ってあげられない...)   ラブソング苦手な椎名は野口に、曲の持つ空気感的に(メロディー的に)「日常を切り取るような歌詞」にしたいと。   ドラマティックではなく少し淡々としたものになればいいなと。   そしてザックリと1番だけの仮歌詞が野口から届く。   その中で「一輪の花」と言うワードが出てきた。   俺的にとても曖昧で歌詞を読んだ人が描くモノ(花の種類など)が大きく変わりそうだなと思い、もっと具体的な「薔薇」に置き換えた。   それに対し野口から「薔薇は日常と言うテーマに相応しいか?」と。   確かにここだけを切り取ると特別なモノに読み解けてしまうかも知れないけど、伏線回収をちゃんと出来れば「花」と曖昧にするより効果はあると一旦保留へ。   そこから歌詞を書き進めていく中で当初無かったDメロなども付け足していく。   付け足される理由は歌詞ではなく、曲の構成上あった方がもっと素敵な曲になるぞ!って思えるから足す。   共作曲の80%ぐらいの確率でコレが起こります。   誰かと作る時って1番まで、もしくは1番から構成を大きく変えず2番までを作る事が多い。   となると、2番後にくるDメロ(大サビとも呼ばれる)まで作らないでデモは終わる。   そこから1人でDメロを作り歌詞を書く事になる。   Dメロの為だけにもう一度制作で集まるのも手間だなぁといっつも1人で作るんですよね。(笑)(みんな忙しいし)   なんやかんやでDメロが生まれた。   ここからだ。   そんなDメロの最後の一節、   <特別な思い出も潜むそんな日常へ>   と。   コレが言えた!   そう、日常に「薔薇」が出てきても「違和感」ではなく、日常に潜む「特別」なんだよ!と。   更に追い討ちをかける。   <君の待ち受けに咲いてた 一輪のさ 薔薇が愛しい>   こう来る。   日常の中の特別なモノとして相手に差し出した「薔薇」の行方が具体的にここで描かれる。   本物の薔薇は枯れてしまったかも知れないけど、相手のスマホの待ち受けには今でも素敵に咲き続ける薔薇が。   ここまでが俺の伏線回収。   コレを自信たっぷりに野口へと送信ボタン連打で送る。   野口:大サビのところすごいいいと思う!バラの回収とかびっくりなんだけど。(原文ママ)   更に、   野口:いいコンビだね。プリキュアか俺らかってぐらいだね。(原文ママ)   プリキュアって2人とは限らないんじゃないかと…。   俺1人では辿り着けない着地点に2人でなら行けるのは昔からよくある。   名コンビだとは思う。   プリキュアは絶対に違うけど。   既に取材で何人かのライターさんと話す機会があった。   口々に言われる「いい曲ですねー!」が更に名曲の予感、期待値、可能性を高めてくれています。   後はアナタが聴いて判断してほしい。   ただ、こう言う曲作るの苦手なのはこれからも変わりません(笑)。   仲間あっての曲だし歌詞です。       さて、3週にわたりお届けしてきましたが、どの曲のエッセイも楽しく書かせてもらいました。   歌ネットさん今回も本当にありがとうございました!   次回作でまたお会いしましょう!     <椎名慶治> ◆紹介曲「 日常パート 」 作詞:椎名慶治・野口圭 作曲:椎名慶治・山口寛雄 ◆4th Mini Album『I & key EN III』 2026年5月27日発売   <収録曲> 01:I & key EN 02:続・愛のファイア!!(Horn mix) 03:妄想煩悩108 04:ギャンブリングダイス 05:TOWEL 06:日常パート 07:Let's HIT(Second Flush)

    2026/05/15

  • 片平里菜
    愛するたびに
    愛するたびに

    片平里菜

    愛するたびに

     2026年4月1日に“片平里菜”がニューシングル「愛するたびに」をリリースしました。デビューから12年が経ち、少し大人になった片平里菜の渾身のラブソング。カップリング曲には、はかなく美しい夜を描いた「そんな夜を」、日本各地の民謡の囃子詞(はやしことば)を取り入れたフォークソング「うたのふるさと」、代表曲「女の子は泣かない」弾き語り room ver.】のセルフカバー。全4曲入りの渾身作となっております。    さて、今日のうたではそんな“片平里菜”による歌詞エッセイをお届けします。今、改めてラブソングを歌いたくなった理由とは。心の内側にある“恐れ”と向き合い、思ったことは…。 今度はまた自分自身に立ち返って、ラブソングを歌いたくなった。 ラブソングを歌っていたあの頃のわたしを、その歌を聴いてくれていた誰かを、今も愛する旅をしているわたしやあなたを、平和とは言い難いこの世界を、ぜんぶ抱きしめるようなラブソングを歌おうと思った。   誰かを愛するたびに溢れる気持ち。うれしくて、たのしくて、時々さびしくて、悲しくもなって。恋の始まりはいつでも甘美で、ゆっくり時間をかけて恋愛感情を消費し、普遍的な愛へと育っていく。けれど、次第に愛することに葛藤し、以前と同じような過ちを繰り返してしまう。 なんでだろう?と、心の内側を覗いてみると、大体そこには“恐れ”がある。   幸せを求めているのに心が満たされないわたしたちひとりひとりも、平和を願っているのに戦争を繰り返すこの世界も、おそらく、その根底には“恐れ”がある。   傷つきたくない。失いたくない。また同じ辛い思いをしたくない。今目の前の幸せをひたすらに生きていればいいのに、過去の傷ついたトラウマや未来への不安がよぎる。それは、注視すれば強くなり、蓋をすれば溢れ出し、壁を作れば感性は鈍っていく。そしてあらたな問題を引き寄せる。“恐れ”は生きるために必要だけど、あんまりたくさん持っていると、重たくて身動きができない。   だったら、抱きしめようと思った。どんな感情も、生まれた以上“悪”ではないから。“大丈夫。きっと大丈夫。”と言って抱きしめようと思った。   同じ失敗を繰り返しているようで、それはちょっとずつ違っていて、わたしたちは螺旋状に登り、自分自身を形成している。前へ前へと進んでいる。   そして手放して、いつかちゃんと愛せるようになる。まずは自分自身を。そして、誰かを。世界を。愛するたびに。   <片平里菜> ◆ニューシングル「愛するたびに」 2026年4月1日発売

    2026/05/14

  • なきごと
    キャッチーってなんだろう?
    キャッチーってなんだろう?

    なきごと

    キャッチーってなんだろう?

     2026年5月20日に“なきごと”がニューシングル「204号室」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『彼女、お借りします』第5期エンディングテーマです。初回生産限定盤と期間生産限定盤の2形態を同時発売。初回生産限定盤には「204号室」と「甘々吟味」(Glico「ポッキー」CMキャンペーンソング)の2曲を収録。期間生産限定盤は、キャラクターデザイン・平山寛菜による描き下ろしジャケット仕様となっております。    さて、今日のうたでは“なきごと”の水上えみりによる歌詞エッセイを3週連続でお届け! 第1弾は、今作の収録曲「 甘々吟味 」にまつわるお話です。ポッキーのCMキャンペーンソングとして書き下ろしたこの歌。「キャッチー」に向き合ってみたとき、見えてきた自身の答えは…。 ご無沙汰しております。 この度、3週連続の歌詞コラムを担当させていただきます!   このコラム、何度もかかせていただいてますが、 今一度、歌詞についての向き合い方を言語化して、 お届けできるのがいつも楽しいです。 またできて嬉しい!ありがとうございます…!   本日は、New ReleaseのSingleより、M-2「甘々吟味」について。   ぜひ、3週連続、水上の歌詞コラムにお付き合いください!   _______________________   “人生何が起きるかわからない”、とはよく聞くが、 「ポッキーのCMキャンペーンソングの書き下ろしが決まりました!」 と連絡が来た時、とんでもない世界線に自分が生きていると実感し、 心底びっくりした。   本当に人生、何が起こるかわからないものだ。   中、高校生までを、鍵っ子で、テレビっ子として生きてきた水上は、 ポッキーのCMソングには言わずもがなたくさん触れてきた。   ポッキーガールが楽しそうに踊る姿は物心がついた頃からみていたし、 カラオケでポッキーを振り回して歌っている友達をみていたし、 クラスメイトがシェアハピダンスを踊っていた(…私は隅からみていた) のは特に記憶に残っている。   私と同世代、あるいは年上の世代の人のほとんどは 同じようにポッキーのCMを身近に感じていたとおもう。   まさか、自分のバンドで起用していただけるだなんて… 夢にも思わなかったほど光栄なことでした。   私の思うポッキーのCMソングのイメージは、 “誰が聴いても好きになっちゃう、とんでもなくキャッチーなうた” だった。   なきごとの楽曲は、中毒性やキャッチーさに対して今までも褒めてもらうことも多かった。   が、しかし、我々なきごとはメジャーデビューして間もない、若手も若手のバンド。 大切なタイアップを任せていただいたからには、全力で寄り添いたいと思っている。   ならば、もっと、キャッチーで楽しく、たくさんの人に届きやすいものを! というのが、チームの総意だった。   音楽を作り、歌詞を作る人間として、 その“キャッチー”について、より向き合いたいと思った。 ……キャッチーを私なりに科学しようと……   本来キャッチーとは、 印象的であるだとか、記憶に残りやすい、という意味を持っている言葉だが、 音楽的な意味でのキャッチーはそれだけじゃない気がする。   歌詞のリフレイン(同じ言葉を繰り返す)が覚えやすいとか、 歌詞が面白くて言いたくなる言葉だとか、 真意をついていて記憶に残りやすいだとか。   それをキャッチーの指標にするにはあまりにも、 このひねくれてそっぽ向いたへそを持つ 私の主観がノイズになってしまうのだ。   これを読んでくれているあなたは、キャッチーをどう思うか。 ぜひ聞きたい。   話の景色が変わるのだが、 子どもの頃から音楽が溢れている家庭で育った。   家では常に音楽が流れているか、母が鼻歌(いや、歌っていたか)を歌っていた。 朝はお世辞にも上手いとは言えない母の歌声に耳を塞ぎながら起き、 用意してくれた朝ごはんを食べながら、 うろ覚えの間違った歌詞で何度も同じフレーズを歌う母へ 毎度歌詞を訂正しながら支度をしていた。   …私の中のキャッチーは、きっとこれなんだと思う。   言語化するのが難しいけど、お母さんがつい歌いたくなる曲、というか。 きっと私の音楽の聴き方と母の音楽の聴き方は違う。 求めているものも違う。 けど、それでも、歌詞がめちゃくちゃだとしても、 歌いたいという気持ちが勝つような、そんな曲。   今作で求められているキャッチーとは、 まさにうろ覚えでもなんか口にしてみたくなるような、 お母さんが一聴してご機嫌で歌っているような、 なんなら音楽に関係のない友達や、 その友達のお母さんが、ふと歌いたくなるようなものなのではないか。   と、思いました。   ならば、とつくった曲が   「甘々吟味」   これがキャッチーの正解なのかはわからない。 でも、キャッチーと向き合ったからできた曲だと思う。   だからこそ、歌詞にはいろんな気持ちを詰め込んだ。   学生の頃、軽音楽部で組んでいたバンドが私の全てだった。   当時のメンバーがポッキーの日に、ポッキーをクラスのみんなで食べる企画をした。 (しかも、11/11 11:11に合わせて数1の授業中…!) 人生でそんな経験をする人の方が少ないと思うけれど、あの日のことを歌にした。   楽しいこともたくさんあった学生時代、 そんな中でも思い出したくないような日々もあって。 酸いも甘いもあって人生だけど、 それを、受け入れるまでにとても時間がかかってしまった。   でも、きっと、いつか、気付ければいい。   大人になると、ムキになれないことが増える。 一概に悪も正義もなくなってしまうような感覚がある。 そもそも一言で言い切れるようなことも減ってしまう。   ムキになれるうちに、たくさん、世界を疑った方がいいし、 自身の正義が正義であるうちに、たくさん言語化しておいた方がいい。 少しだけ、自分が信じたいと思った大人がいれば、気持ちを話してみてもいい。 間違えていいから、自分を信じてみていい。   あの頃の自分に言えるなら、こんなものだろうか。   「甘々吟味」という楽曲は、 このように光だけを歌っているのではなく、 つまずいてしまった日々にもフォーカスしている。   この曲がおまじないのように、お守りのように、 受け取ってくれたあなたを守ってくれる曲になったらいいな と思ってつくった曲だ。   そして、私は言霊を信じている。 (終わらせたくない、という曲をかいた時に本当にRecが終わらなかった時から)   “甘々…煌々期…吟味…”   のセクションは、 【いつだってキラキラな日々であると味わえるように】 そして、 【私はいつだってラッキーで、 ばっちこい!ビタースイート(酸いも甘いも) ベイビー(愛してあげたい)!】 …みたいな(笑)   今日も朝ごはんを準備する誰かのお母さんが、 この曲を口ずさんでくれて、言霊でラッキーになったらいいなと。   それこそ、今の所、私が思う、キャッチーなのかなと。   <なきごと・水上えみり> ◆紹介曲「 甘々吟味 」 作詞:水上えみり 作曲:水上えみり・柿澤秀吉   ◆ニューシングル「204号室」 2026年5月20日発売

    2026/05/13

  • 神はサイコロを振らない
    7畳1K。
    7畳1K。

    神はサイコロを振らない

    7畳1K。

     2026年4月15日に“神はサイコロを振らない”が3rd Full Album『EINSTEIN = ROSEN BRIDGE』をリリースしました。今作には、新曲5曲を含む全13曲が収録されており、「Lovey Dovey」、「火花」「Baby Baby」などに加え、新曲「ソユーズに乗って」や「白昼夢」などが収録された豪華な構成となっております。    さて、今日のうたではそんな“神はサイコロを振らない”の柳田周作による歌詞エッセイをお届けします。7畳1Kの部屋、自身にとっての聖域。その場所で大切にしているものは…。 7畳1K。 僕の住んでいる部屋の間取りです。   一年の大半を部屋で過ごす僕にとって、 ここは海であり、空であり、聖域です。   日々豊かに表情を変える心、 遠のくほど煌めいて見える夢、 色褪せた感熱紙のような過去。   この子たちを必要な時に、 必要な分だけ掬えるよう 自由に放し飼いして暮らしています。   目には見えない妖精みたいなやつらなので、 飼い主の僕ですら見失うこともあります。   だけどある。   ここに確かにある。   僕の仕事は、この子たちを音に乗せる行為。   ただそれだけです。   あとは窓から手放して、 たんぽぽみたいに風に吹かれ ここではないどこかへ辿り着くことを祈ることくらい。   例えばそこがひとりぽっち、 眠れずにいる誰かの元なら もっといいな   なんて思いながら 五線譜に起こしてみました。   <神はサイコロを振らない・柳田周作> ◆3rd Full Album『EINSTEIN = ROSEN BRIDGE』 2026年4月15日発売   <収録曲> 1.ソユーズに乗って 2.白昼夢 3.藤雨 4.Balloon of Shooting Star 5.ちょっとだけかゆい 6.火花 7.The Abyss 8.シルバーソルト 9.Smoke 10.Lovey Dovey 11.Baby Baby 12.May 13.スケッチ

    2026/05/12

  • 日食なつこ
    煙と水晶
    煙と水晶

    日食なつこ

    煙と水晶

     2026年4月8日に“日食なつこ”が新曲「煙と水晶」をリリースしました。煙のようにほどける一瞬と、水晶のように沈黙する永遠。微細な揺らぎ、ゆらめきを、日食なつこらしい春の匂いを纏って描く最新作。アレンジャーにガリバー鈴木を迎え、Drums 城戸紘志、 Contrabass ガリバー鈴木の芽吹きを感じさせる音が、楽曲に暖かく寄り添います。今日のうたでは、そんな“日食なつこ”による歌詞エッセイをお届けいたします。  駅ビルに入っているような大きな商業施設に出かけると、たまに降りるフロアを間違ってプリクラやゲームコーナーがひしめくフロアに迷い出ることがあります。  そういう場所で目にするのはたいてい制服姿か、あるいは大人のような装いをしてはいるものの一目でそれと分かる、青少年たちです。  同じくらいの歳のころ、そういった場所で「ただ遊ぶためだけに遊ぶ」ということが自分はどうしてもできない子どもだったなぁと、そのたびに思い返します。    とりわけ苦手だったのはプリクラ。小学生高学年になるくらいから、誰かとどこかへ出かけるとなれば必ずそのイベントはついて回りました。  プリクラは「ただ遊ぶためだけに遊ぶ」を完璧に体現した娯楽です。手を取り合い、肩を寄せ合い、あの小さな空間でポーズを取って、フィルターをかけ、お絵かきをして、プリントされるのを待って、切り分けて…。  勉強も遊びも何かを始めるなら何かしら目標や意義があるところまでがセット、というお堅い思想の椅子にきっちり座っていた当時の自分にとって、これは何が目的なのか?どこに喜びを見出せばいいのか?どんな反応をすれば楽しんでいることになるのか?それが一切見えてこないプリクラの作業工程は、大袈裟ですが苦役のようですらありました。    一緒に撮ろう、なんで逃げるの、と腕を取ろうとする相手をかわし、向こうで待ってるから、などと言い訳をして頑として私はプリクラ機に近づこうとはしませんでした。怪訝そうな表情をこちらに向けた後、すんなりとあの箱に吸い込まれてく友人や先輩たちが、その時だけは遠い星の住人に見えました。  どこかのテーブルに座ってひとり堂々と「私は望んでここで待ってるだけです」という空気が出ているようにふるまう時間は、とてつもなくみじめで、卑屈なものだったことを覚えています。   迷い方すら美しいあの子のように 存在しているだけで許される側でいたかった    35歳も目前になる頃に書き上げた最新曲「煙と水晶」の一節です。  “迷い方すら美しいあの子”は私の人生において何人も思い浮かびますが、プリクラ機に手を取り合って入っていける側だった人たちも、もれなくそこに該当しています。  私はなれませんでした。  あの箱の中に入れなかった自分は、存在しているだけでは許されない側なのだろうかと、青く苦く柔らかい草を噛み締めるような思いで生きています。   <日食なつこ> ◆紹介曲「 煙と水晶 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ 

    2026/05/11

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