ネクラは僕たちのbonus point

 2026年7月24日に“SARUKANI”がニューシングル「どうすんの?」を配信リリースしました。同曲は、現代を生きるすべてのひとへ向けた自己肯定のアンセム。SNSや他人との比較、不安や焦りに縛られ、自分を見失いそうになる日々のなかで、“大好きな自分にもう一度会いに行こう”というメッセージを、SARUKANIらしい力強いミクスチャー・ロックサウンドに乗せて届ける1曲となっております。
 
 今日のうたではそんな“SARUKANI”のKAJIによる歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「どうすんの?」にまつわるお話です。ネガティブに捉えられがちな"ネクラ"という言葉。自分の性格に縛られそうなとき、自分らしく一歩を踏み出すためのヒントとは…。



僕はこれまで、みなさんのように(反論は受け付けます)、ネクラに人生を過ごしてきました。
僕の場合だと、他人に自分の気持ちが理解できるはずがない、と考えて人間関係から塞ぎ込みがちなタイプの根暗です。
 
きっとこのコラムをお読みの皆さまの中には僕と同じように、この社会での生きづらさを感じている方も少なくはないと思われます。僕もなんとなくそう思い始めてから、気づけば26歳になろうとしています。
 
そんなネクラな私の中にあってよかったと思うのは、“向上心”です。
一見、ネクラな性格とは同居しないかのような印象を受けるかもしれませんが、むしろ同居し、バランスを保つことにより自分自身の支柱を太くする性格だと考えています。
 
僕が根暗なりにも人や環境、才能に恵まれながら育ってきた裏には、間違いなく向上心があると信じており、これがなければ今頃、自分も他人も等倍で攻撃する大うつけになっていたと思いますし、頻繁にそんな自分を想像して勝手に冷や汗をかくこともあります。
 
「どうすんの?」は、そんな自分があなたに届けたいと思った、ポジティブなバンドチューンです。
 
どれだけ外の空気が怖くて家に塞ぎ込んでいても、
たとえ冷めたコーヒーやカレーがそのままのキッチンでも、“damnit(くそー!)”と一蹴する勢いで走り続ければ、いずれは大好きな自分に出会えると信じて。
依然部屋は散らかっていても、
どれだけ未来が見えなくとも、
スマホの通知を全て切って、自分が本来持っている強み・才能の研鑽を積んでルーティンにしてしまえば、
自分だけのリズム、グルーヴができると願って。
 
立ち止まらざるを得ないタイミングが幾度となく現れようと、とにかく走り続けること。
 
僕は、そんな不器用にもがいているように見える向上心を、誰もが持っているはずだと思っています。僕はあなたと似ています。
理由はありませんが、僕の勘がそう言っているのです。類は友を呼ぶという言葉がありますが、なぜだかそういったシナジーをあなたに感じています。
 
そんなあなたに伝えたいことは、「ネクラはBonus point」ということです。
ネクラであるということは、ただ暗く、塞ぎ込みやすいということだけではありません。
 
人よりも長く考えてしまうこと。
何気ない一言や小さな違和感を、いつまでも忘れられないこと。
誰にも見られていない場所で、自分の好きなものをしつこく磨き続けられること。
自分の弱さや格好悪さから、簡単には目をそらせないこと。
 
それらは生きづらさの原因にもなりますが、同時に、他の誰にも見つけられないものを見つけるための感度でもあり、自分だけの表現や強みを育てるための時間でもあると思うのです。
 
僕自身、明るく社交的で、何事もすぐに忘れられる人間だったなら、この曲を作ることも、ひとつの音や言葉について何時間も悩むこともなかったかもしれません。
 
塞ぎ込んだ時間も、考えすぎた夜も、簡単には人と分かり合えなかった経験も、使い方次第では、自分にしか作れないものの材料になります。
 
だからネクラは、直さなければならない欠点ではありません。
性格の一つではありますが、あくまで素晴らしい自分を構成する、素晴らしい要素の一つにすぎません。我々が人間である面白さやスパイスの一種です。
 
最初から与えられている加点要素、Bonus pointなのです。
 
だからこそ、「縛られてどうすんの」と思うわけです。
 
自分はこういう性格だから。
どうせ誰にも理解されないから。
今さら変われるはずがないから。
 
そうやって、自分の性格を自分の可能性に蓋をする理由として使ってしまって、どうすんの、と。
 
この曲を聴くときは、自分を変えようと意気込む必要はありません。
今の自分が抱えている焦りや迷い、不安も、そのまま連れて聴いてください。
走ることに迷いがあっても構いません。立ち止まりたくなる日があっても構いません。
 
それでもサビが鳴ったときだけは、「もう一歩だけ行ってみるか」と思ってもらえたら、この曲を作った意味があると思っています。
 
内省とまではいかずとも、このタイミングで自分の心に手を当てて、自分を徐々に解き放てるような曲となることを祈っています。
 
この曲を楽しまなくて、どうすんの?
 
<SARUKANI・KAJI>



◆紹介曲「どうすんの?」
作詞:KAJI・RUSY
作曲:Kohey