木のような人

 2026年10月7日に“関取花”がミニアルバム『気づいたら始まっていた』をリリース。西松屋のテレビCM曲「わたしの手のひらで」など新曲を加え全7曲を収録。さまざまな角度から人生を肯定する歌詞と、弾き語りをはじめミニマムな編成で無駄を削いだアレンジで、手触りのある温かく朗らかなムード漂う一枚となっております。
 
 今日のうたではそんな“関取花”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は、収録曲「ご報告」にまつわるお話です。自身が風邪をひいたことで、改めて感じた夫の心身の強さ。彼を“木のような人”だと思う、その理由は…。



最近、風邪をひきました。職業柄、声が思うように出ないと、めちゃくちゃイライラしてしまいます。不安と焦りが半端ないんです。
 
ライブの日までにどうにかならなかったらとか、もしこのまま声が出なくなったらとか、考えても仕方のないことを考え出してしまいます。だって、基本的にはこの声ひとつを武器にして生きているんですから。
 
病院で検査もして、諸々陰性。毎日着実にマシにはなってきていて、普通にただの風邪という感じ。そうわかっていてもダメなんです。最悪のパターンばかり考えては、どんどん落ち込んでしまいます。
 
AIに相談した日にはもうおしまいです。「良くなっているなら一安心。でも油断はしないでほしい。ここから喉の状態が良くならなかった場合、もしかしたら別の病気の可能性もある」とか言ってくるじゃないですか。わかるけどさ、新しい不安のタネをまくのはやめてもらえる?
 
こういうときの何が嫌って、とにかく自分のことしか考えられなくなるんです。特に忙しい時期はなおさらです。ただでさえいっぱいいっぱいなのに、自分の体調にまで振り回されて、余裕なんてこれっぽっちもない。それでもべつによかったんです。一人暮らしのときまでは。
 
少し前に結婚をしました。私の夫はスーパー健康です。よく食べ、よく動き、よく寝ます。私が風邪をひいても、インフルエンザになっても、コロナになっても、基本的にうつったことがありません。本当に羨ましい限りです。
 
特別な健康オタクかと言われるとそうではないのですが、ある程度の食事バランスと睡眠時間、そして何より自分自身を大切にしているように思います。頑張るけど無理はしない。これって意外と難しいのですが、それができているんでしょうね。
 
これまで出会った人の中で、一番メンタルが安定していると思ったのが今の夫です。自分が自分であることを、いつだってただただ受け入れているところがすごいです。うまくいっても、いかなくても、ただその事実を淡々と受け入れている。それ以上の期待も落胆もしない。ただここに存在していることと、今日までの道のりを、誰よりも自分自身が認めてあげている感じです。
 
なんというか、木のような人だなと思います。雨が降る日もある。風が吹く日もある。晴れて気持ちのいい日もある。それでも自分は今日も自分である。そんな人です。
 
ピリピリしている私がいても、雨が降れば雨宿りをさせてくれて、眩しさに目を瞑りたいときにはそっと木陰を作ってくれて、何よりただ静かに、どんと構えてそこにいてくれて、本当にいつもありがたいなと思います。外で見かける野花たちも、それぞれの木に救われながら、今日も咲いているのかもしれませんね。いい人に出会えてよかったです。
 
でも3つパックの納豆の外側のフィルムみたいなのは、そのまま冷蔵庫に残さず捨ててほしいなとは思います。(最近は捨ててくれています、サンキュー!)
 
<関取花>



◆紹介曲「ご報告」
作詞:関取花
作曲:関取花

◆ミニアルバム『気づいたら始まっていた』
2026年10月7日発売

<収録曲>
1 それいけ!ランドセル
2 わたしの手のひらで
3 趣味です
4 あなたはきれい
5 ご報告
6 わたしのねがい
7 ときめき