届く音と、挑戦する音のあいだで、その一節が景色を変えると信じて。

 2026年5月15日に“SARUKANI”が新曲「WORLD RECORD」をリリースしました。世界的ギタリスト・Ichika Nitoを迎えたエネルギッシュな1曲。ビートボックスとギターという異なる音楽性を高次元で融合させた楽曲です。KAJIとRUSYによるダブルボーカルが、さらなる熱量と推進力を与え、“世界を獲るのは、決して遠い夢ではない”という強いメッセージを体現しております。
 
 さて、今日のうたではそんな“SARUKANI”のKoheyによる歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「WORLD RECORD」にまつわるお話です。活動を続けるなかで、少しずつ変わってきた音楽との向き合い方。今、自身が“一人で出した記録”よりも大切に思うものは…。



最近よく考えることがあります。
 
自分はあとどれくらい成長できるんだろう、と。
音楽を始めた頃は、もっと単純でした。
 
上手くなりたい。
良い曲を作りたい。
たくさんの人に聴いてもらいたい。
 
ただそれだけを考えていれば前に進めた気がします。
 
でも活動を続ける中で、音楽との向き合い方は少しずつ変わっていきました。
 
曲を作るたびに、
「前作を超えられているだろうか」
と考えるようになったし、
音楽プロデューサーとして制作に向き合う時間が増えるほど、
「もっと面白いものが作れるんじゃないか」
という欲も強くなっていきました。
 
もちろん数字も気になります。
再生回数もライブの景色も、
どれだけ多くの人に届いたかも気になる。
たぶん、気にならないと言ったら嘘になります。
 
数字は、自分たちの音楽がどれだけ届いたかを教えてくれる大切な指標です。
だからこそ僕たちも、もっと多くの人に届けたいと思っています。
ただ、それだけでは測れない高揚感があることも、制作を続ける中で感じるようになりました。
 
誰もやったことのないこと。
自分たちも見たことのない景色。
作りながら不安になるくらいの挑戦。
そういうものに心が動くんです。
 
「WORLD RECORD」を作っていた時、最初に浮かんだのは“世界一”ではありませんでした。
 
昨日の自分を超えること。
前回の自分たちを超えること。
その繰り返しの先にある景色でした。
 
でも、この曲について考えているうちに気付いたことがあります。
 
人は一人では、そんなに遠くまで行けないということです。
行き詰まった時に相談できる仲間がいて、
刺激をくれるアーティストがいて、
作品を受け取ってくれる人がいる。
自分一人の力だけで進んできたつもりだった道も、振り返ればたくさんの人の存在の上に成り立っていました。
 
世界記録という言葉は、一人で打ち立てるもののように聞こえます。
でも今の僕には、一人で出した記録よりも、誰かと更新した景色の方が強く残っています。
 
今回の制作でも、Ichika Nitoさんのギタープレイ、RINZOさんのアレンジによって、この曲はさらに大きなエネルギーを持つものになりました。これからも「ありがとう」という言葉を掲げて、arigato.シリーズで沢山の人と繋がり、刺激を貰い、僕達からも渡したい。
 
一人では辿り着けない場所がある。
だから面白い。
だからもっと先を見たくなる。
 
「WORLD RECORD」は、不安や迷いがなくなった人の曲ではありません。
むしろ、不安も迷いも抱えたまま、それでも前に進みたいと思った時の衝動を音にした曲です。
 
この曲を聴いてくれた誰かが、自分自身の記録を更新したいと思った時。
あるいは大切な誰かと新しい景色を見たいと思った時。
その背中を少しでも押せたら嬉しいです。
 
僕たちもまだ途中です。
だからこそ、もっと先へ。
まだ見たことのない景色を目指して。
 
<SARUKANI・Kohey>



◆紹介曲「WORLD RECORD」
作詞:KAJI・RUSY
作曲:RINZO・Kohey