tomato セルフライナーノーツ

 2026年8月26日に“sorato”がMajor 1st Full Album『空とツキ』をリリース。今作に収録されているのは、彼女の真骨頂である“ノンフィクション・ラブソング”に特化した全11曲です。等身大ながら同世代の“共感必至”となる、soratoの切実さを凝縮した渾身の作品となっております。
 
 今日のうたではそんな“sorato”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、収録曲「tomato」にまつわるお話です。待ち合わせまでの道で気づいてしまったこと。いつも<君>がくれるトマトが、どんなトマトよりもおいしいその理由は…。



君とびっくりドンキーに行くと、当たり前のように私のサラダはミニトマトがふたつになる。
 
「また?」
 
そう言ったあと、自分の声が嬉しそうになっていることに気づく。
口角もきっと上がっている。
 
「ケチャップはいけるんだけど」
 
いつもの言い訳を始めてくれたおかげで、ばれずに済んだ。
 
別にトマトが大好物なわけじゃない。
嫌いじゃないだけで。
それでも君がくれる、というより押し付けてくるトマトは、どんな採れたて農家直送のものより嬉しい。
 
私はミニトマトがふたつ乗ったサラダを写真に残した。
 
 
何でも話せる友達同士だった。
バンドTシャツにスウェット、すっぴんで会うことに抵抗なんてなかったし、ダメダメな恋愛相談をして怒られたこともあった。
 
その日もいつも通り、飲みに行く約束をしていた。
待ち合わせまでの道で、スマートフォンのカメラを鏡代わりにして前髪を直した。リップを塗り直したところで気づいてしまった。
君への「好き」は、もう友達としてのそれだけじゃなかった。
 
 
この口が
君に好きと伝えるためではなく、
君にキスをするためではなく、
今まで通りくだらない話をするために使えますように。
この口が
君が残したトマトをずっと食べ続けられるなら、このままでいい。
 
 
チーズが乗ったハンバーグを食べながら、君が観に行きたいというお笑いライブの話をしている。
 
「今度行こうよ」
 
と言って、私はひとつめのミニトマトを口に入れた。
 
<sorato>


◆Major 1st Full Album『空とツキ』
2026年8月26日発売
 
<収録曲>
01. ハートレート
02. 体温
03. 鼻歌と眠気
04. 声を溶かせば
05. 空白
06. 友達のふり
07. いつかのいつか
08. 最終回
09. 月に願う
10. tomato
11. 明日のツキ