会いたいと思えること

 2026年7月22日に“奥華子”がデビュー20周年を記念するニューアルバム『会いたいと思えること』をリリース。今作は、約7年ぶりのオリジナルアルバム。CDには全12曲が収録され、完全限定豪華盤・初回盤・通常盤の3形態でのリリースとなります。
 
 さて、今日のうたではそんな“奥華子”による歌詞エッセイを3日連続でお届けします。第1弾はアルバムタイトル曲「会いたいと思えること」にまつわるお話です。最初に芽生える感情であり、いちばん大事なはずの「また会いたい」という気持ち。この気持ちを見つめ直したときに見えてきたものは…。



誰かを好きになった時に、どの段階で、どの感情に気づくことで「好き」ということを認識するのか。初めて会った瞬間に「好き」になることも珍しくないかもしれないけれど、それ以外では、一番最初に自分の中に芽生える感情は「また会いたい」という気持ちなのではないかと思う。
 
そして会いたい気持ちの辿り着く場所として、ずっと会っていたいから、一緒に暮らし始めたはずなのに、それが日常となり、当たり前に感じてしまったとき、相手を思いやる余裕がなくなり、自分の事でいっぱいいっぱいになり、両手が塞がってしまうみたいに。
昔は片手で自分の荷物を持って、もう片方の手は、いつでも手を繋げるように空けておいていたのに。
 
本当は一番大事な感情のはずなのに、いつの間にか、会いたい気持ちを無くしていくような気がした。
人と人が一緒に暮らし生きることは、簡単なことではないし、小さな違いが大きな溝となったり、小さいと感じる速さも深さも違うから、そのお互いの価値観をぶつけ合ったり、すれ違ってしまうけど、できれば乗り越えていきたい。せっかく出会って、せっかく会いたいと思える人だったのだから。
 
ある日、喫茶店でカフェラテをゆっくりと飲んでいた。ハートのラテアートを見ながら。
一番上にある泡のハートの形は最後まで形を変えずに、ずっとハートのままで、飲み終わるまであったことに驚いた。泡は最初に無くならないんだ。
正直ラテアートは無くても味は同じで、カフェラテとして成立するけれど、そこに浮かぶ「ハート」は飲む相手への思いやりの形だと思うと、一番大事なもののような気がした。そして、それは一番最初に芽生えた「会いたい」という大事な気持ちそのものな気がした。
 
泡なのに、消えないんだ。
 
<奥華子>



◆ニューアルバム『会いたいと思えること』
2026年7月22日発売



<収録曲>
1 会いたいと思えること
2 僕を失くした日
3 向日葵
4 ガラクタの思い出
5 輪郭
6 あなたに出会えたことで
7 好きになってしまったものはしょうがない
8 車窓
9 宝石
10 まばたき
11 カナリア
12 奇跡のかたまり