奏音69・タカハシヒビキ編曲の歌詞一覧リスト 1曲中 1-1曲を表示
| 曲名 | 歌手名 | 作詞者名 | 作曲者名 | 編曲者名 | 歌い出し |
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| 怪談長尾景 | 長尾景 | 奏音69 | 奏音69 | 奏音69・タカハシヒビキ | 人里離れた山奧に、いぢわるな鬼が棲んでをりました。 この鬼、今しも恋に破れたばかり。たいへん苛々してをりまして。 里に下りては人を騙して、その御魂を喰らふ。 まあさういふ、惡鬼でございました。 ああ、ちくしやう。 もつと人を騙せる術はあるめえか。 もつと魂を喰らふ術はあるめえか。 さうして鬼は、かう考へたのでございます。 「さうだ。人間の皮で、仮面を作らう」 人喰ふ鬼に、血を吸ふ鬼。 渡る世間に鬼數あれど、此度の鬼はちと違ふ。 なにしろ此奴、噺がうまい。 その饒舌な語りを聽いたが最期、果ては御魂も吸ひ盡くされる。 これぞまさしく、怪談。 腹空かせた鬼が今宵ぶらり。 人騙して魂[たま]喰つてぺろり。 けんども腹は滿足[みた]せず空くばかり。 そんだば、鬼に祕策あり。 村人さ、狩り、狩り。 顰め面、ばり、ばり。 痛えがつても、無理くり。 人間の面をずゐと剥ぎ取り。 化けの皮、手作り。 素晴らしき仕上がり。 これで、俺も仲間入り。 さあて。ぬらりくらり、何處へ往かうか。 浮世の貌[かたち]をぶらさげて。 さうだ。お前を誑かす怪談は、 こんな異端な奇譚にしやう。 さうしませう。 この噺で氣を惹いて、 その魂を碎いて、 この顎で啜る、ずる、ずる、ずる。 そんでも鬼は滿足[みた]せねえ腹ぺこり。 そこへ知らぬ男がひとり。 あはれ見るに忍びなきその身形。 「今夜は腹を滿たせさうだ」 けれども病がちなその男、気を失つて倒れてしまふ。 御魂を喰らはうにも、先づは怪談を聽かせにやあ美味くならない。 しやうがあるめえ、鬼は男を宿に運び込んだのでございます。 聽く耳、持たぬらしい。 遠慮なぞ無し無し。 寄り添つてる意思表示。 すると、男が口を開く。 思し寄らぬお話。 驚いた午前0時。 恋破れた者どうし。 そんぢや、俺もお前も同じぢやあねえか。 誰かを愛して、騙されて。 さうか。お前を誑かす怪談なんて、 こりやあ話せねえな。 腹は滿足[みた]されたやうだ。 草木も眠る丑三つ時。 滿足さうに眠る男を殘し、鬼は黙つて宿を去る。 と、その折。何やら背後で物音ごそり。 振り返った鬼の目前、立ってゐたのは―― 嗚呼! ずるりぬるり、お前もさうかい。 浮世の貌[かたち]で、おい嗤つてんぢやあねえよ。 さうか。俺を誑かす怪談か。 なにが不幸だ苦境だ。 うまい噺だなあ。 その噺に氣を惹かれ、 この魂をとくと碎かれ、 その顎で啜られる、ずる、ずる。 怪談をぢつくりと語つた、もうひとりの鬼が謳ふ。 「今夜は腹を滿たせさうだ」 ……ところで貴方も、 この怪談をぢつくりと聽かされた譯ですが、 腹も空いてそろそろ、 “おなかいり”でございます。 |
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