悲惨な記憶がなんで良い思い出になってんだ?

日食なつこ
悲惨な記憶がなんで良い思い出になってんだ?
2019年1月9日にピアノ弾き語りシンガー・ソングライター“日食なつこ”がニューアルバム『永久凍土』をリリースしました。今日のうたコラムでは、今作の収録曲から「seasoning」をご紹介。タイトルの「seasoning」には、まずひとつ【調味料・味つけ】という意味があり、歌はある日の料理シーンから幕を明けます。 レシピどおりに作った筈のディナーを 最後の火加減で台無しにして泣いた 隠す間もなくフォークで刺して口に入れ 「死ぬほど不味いけど食べる」 と笑う君がいた 「seasoning」/日食なつこ ふつう夕食をさす<ディナー>とは、一日のなかでもっとも主要な食事のこと。もしかしたら<私>にとって、この<ディナー>作り自体も、二人のデートの“もっとも主要な場面”だったのかもしれません。ここまでは<レシピどおり>=“計画通り”にことを進め、料理の味つけだって完璧。あと少しでこのデートは<完璧>だったはずなのです。 しかし<最後の火加減で台無しにして>しまった。そのせいで、ディナーどころか丸々一日もダメにしてしまった気持ちになり、思わず涙がこぼれたのでしょう。そんな主人公と対極なのが<君>の言動です。歌詞から察するに<君>は、一生懸命レシピどおりにディナー作りを頑張ったもの失敗し、泣いている<私>の一部始終を見ていた模様。 だからこそ<隠す間もなくフォークで刺して口に入れ>たのです。さらに「美味しいよ」なんて嘘は言わず「死ぬほど不味い」ことを笑って受け入れながら食べることで、気を遣った言い訳さえも<私>に言わせません。これによって今日の“もっとも主要な場面”は<最後の火加減で台無しにして泣いた>ことではなく“それでも君が笑って食べてくれたこと”に更新されたのではないでしょうか。 表は土砂降り予定は水の泡 あの場所も景色もこの天気では無理そうだ ひとり不機嫌な私の顔に 雨の飛沫を撥ね散らかして君は言う 完璧な人生を欲しがる前に 今日笑ったかどうかを確かめろよ まだ生まれてもいない未来に期待はすんなよ 「seasoning」/日食なつこ また、先ほどのディナー作りに限らず主人公は、日常のいろんなことに対して自身で描いた<レシピどおり>に物事を進め、理想にたどり着きたい完璧主義者なのだと思います。だけど、どんなに綿密に計画を立てたとしても、予想しなかった<土砂降り>=“障害”によって<あの場所も景色も>期待どおりには楽しめないことも人生には多々。 ただし、期待どおりではない今日を<不機嫌>に過ごすか、笑いながら<雨の飛沫を撥ね散らかして>違う楽しみ方で過ごすかは、自分次第なんですよね。完璧じゃなくても、予定通りじゃなくても、今日笑うためにどうするかが大切。そのことをいつも教えてくれたのが、おまじないのように言動で伝え続けてくれたのが、そばにいた<君>なのです。 丸焦げのフライパン 雨で烟る観光地 悲惨な記憶がなんで 良い思い出になってんだ? 君の見ている景色はきっともっと鮮やかだ だから今日も僕は自分の声で繰り返す 完璧な人生を欲しがる前に 今日笑ったかどうかを確かめろよ まだ生まれてもいない未来に期待はすんなよ 「seasoning」/日食なつこ すると完璧主義者だった主人公の心にも変化が訪れました。何故なら<丸焦げのフライパン>も<雨で烟る観光地>も<悲惨な記憶>だったはずのすべてが<良い思い出>になっていることを実感したから。鮮やかな<君>の生き方・考え方を教えてもらったことで、自分の人生もよりいっそう“味のある”ものになっていると気づいたから。 そして今は<君>が言っていた言葉が、自分にとっての宝物として、ずっと胸の中にあるのです。ちなみに、タイトルの「seasoning」とは【おもしろみをそえるもの・明るく生き生きさせるもの】という意味もある言葉。つまり自分次第の考え方・生き方こそが“調味料”になり、人生を明るく生き生きさせるのだと、この歌は伝えてくれているのでしょう。 レシピどおりになんていかない毎日を、嘆きそうなあなたへ。まだ生まれてもいない未来に期待しすぎているあなたへ。どうか、日食なつこ「seasoning」のメッセージが届きますように…! ◆紹介曲「 seasoning 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆ニューアルバム『永久凍土』 2019年1月9日発売 初回数量限定生産盤 295-LDKCD ¥6,800(税抜) 通常盤 296-LDKCD ¥2,500(税抜)



















