靴音が囁く

雑踏を行き交う人々は
私を気にも留めようとせず
それぞれの当て所を目指して歩いていく
絡みあう歩調と交わらない視線は
まるでそこに私などいないみたいにして
雑踏の景色を形作っていく 靴音が囁く

きっと別の誰かが傍から見たなら
君もまた雑踏の景色なのだろう
この無関心を象るための
たった一つの点に過ぎない
雑踏の世界 君の居場所はどこにもない

深呼吸をして目一杯の街の空気を吸い込む
体の中澱んでいた錆びた空気が
新しい空気に入れ替わるよう
初めての街 見たことない景色
私の世界はきっとここではないどこか
かつんこつんと靴音が囁く 新しい世界を報せるように
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