夏の忘れもの

影踏みした夏の夕暮れ。
自分の影を自分だけは踏めないことを知る。

錆びれたブランコの音はギイギイと、
晩夏の空、泣いてるように公園に響いた。

大切なものばかり集めてたら何が大切か分からなくなった。
忘れたくはないよ。例えそれがくだらないものばかりでも。

目を伏せて見えないふりをしても、
そこにいるのはもう一人の自分ってこと分かってるから。

ぽろぽろと溢れた涙のその意味は、
大人になってから気付くのだろう。

国道沿いの町の朝模様。
坂の途中に植えた向日葵、思い出とともに咲く。

終わりかけた夏の蝉はジイジイと、
過ぎゆく日を惜しむかのように、ただ鳴き続けてた。

透明より綺麗なものがあると知った時の驚きに似ていた。
失くしたくはないよ。例えそれが大人になることだとしても。

目に映るものだけが全てと言い聞かせてた。
大事なこと、本当のこと、気付いてるのに。

寂しさの代わりに綴るこの歌を、
私はこれからも歌うのでしょう。

目を伏せて見えないふりをしても、
そこにいるのはもう一人の自分ってこと分かってるから。

夏の忘れものがくれたこの歌を、
私はこれからも歌うのでしょう。
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