旅愁~斑鳩にて~

斑鳩を旅するのなら春よりも秋がいい
あなたが言ってた通りです
一筆の墨絵のような山の辺のスケッチを
都会のあなたに送ります
あーしみるでしょう 夕陽の赤が
あなたの口紅より淡い色でしょう
万葉集の文庫本手に
坂道のぼれば葉はくれないに
あぁそれは失くした恋の彩りでしょう

斑鳩を行き交う人は何故かしらひとり旅
生きてる事って淋しいね
寺にある絵馬の裏にはいくつもの願い事
あなたの名前もありそうで
あぁしみるでしょう 秋から冬へ
季節の縫い目たどるぼくが見えますか?
すすきの海がふたつに割れて
手を振り駆け寄るあなたが揺れる
あぁそれは失くした恋のゆらめきでしょう

斑鳩はいにしえの里街の色しみこんだ
自分が不思議に恥ずかしい
君だけが女じゃないと嘘ぶいて強がった
昨日が歯がゆく想えます
あぁしみるでしょう 時の流れが
二人のつないだ手をほどいたのです
ポケット・カメラ構えるぼくに
あなたによく似た少女が笑う
あぁそれは失くした恋の陽炎(かげろう)でしょう
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