自由な“遊び場”であり、心地よい“居場所”があるから…。全13曲入りニューアルバム!

 2026年6月3日に“Aooo”が2nd Album『Rooom』をリリースしました。今作には、2025年に発表された「魔法はスパイス」「Yankeee」「Geeek」「CRAZZZY」「スターサイン」をはじめ、バンドの現在地を刻む全13曲が収録されております。今回は、石野理子(Vo.)にインタビューを敢行。自身が作詞を手がけた「ユメユキ」や「Portrait」の制作秘話、さらにメンバーそれぞれの歌詞の魅力についてじっくりと伺いました。“孤独”から生まれる感覚を歌詞にする理由、<わかり合う>ことへの思い、そしてAoooというバンドによって生まれた自身の変化とは…。今作とあわせて、石野理子の歌詞トークをお楽しみください。
(取材・文 / 井出美緒)
ユメユキ作詞:石野理子 作曲:やまもとひかる光が揺らすカーテン 飛沫あげて風が躍る
懐かしい声がして 急いで振り向く
陽が射し 手を伸ばせば遠くなる姿
物語の終点には 着けないまま 消えちゃうの
もっと歌詞を見る
私は“孤独”から生まれる感覚を歌詞にすることが多い。

―― 人生でいちばん音楽に心を動かされた記憶というと、何を思い出しますか?

小さい頃、新体操やダンスをやっていたこともあって、「音楽って楽しい」と思うタイミングはたくさんありました。でも、心を震わされたという意味で、いちばん衝撃が大きかったのは、中学生の頃に星野源さんのアルバム『YELLOW DANCER』を聴いたときですね。

―― とくにどんなところに惹かれたのでしょうか。

当時、気持ち的に疲弊していたんです。塞ぎ込んでいたし、「誰もわかってくれないし、頼れるひとはいない」と自暴自棄になっていました。そんなときにそのアルバムの「地獄でなぜ悪い」などを、爆音でずっと聴いていて。星野さんのファンの方々がよく、「星野源さんの曲は、“手を取り合って一緒に幸せになろう”ではなく、下のほうでそばにいてくれる」と語っているのを目にすることがありますが、私もまさにそんな感覚になりました。

―― そこからどのように“聴く側”から“表現する側”になっていったのですか?

小学生の頃、歌とダンスのスクールに通っていて、最初はダンスのほうが好きだったんです。でも、「うまいひとがたくさんいるな。私はあまり伸びないかもしれない」と思って。一方で、歌うと褒めてもらえることが増えてきたので、歌に本腰を入れるようになりました。そして、ちゃんと表現できる場所に行きたくて、歌のオーディションを受けるようになって、アイドルネッサンスとしての活動がスタートしたんですよね。

―― アイドルネッサンスの解散後は、赤い公園の新ボーカルとして加入され、さらに赤い公園の解散後は俳優やソロアーティストとしても活動されています。その時々、新たな運命に導かれているような感覚があるのでしょうか。

まさにそうですね。タイミングというか、ご縁というか。すべてが今ここに結びついている感覚です。

―― 怖さはありませんでしたか?

いや、わりとずっと怖いです(笑)。アイドルを始めるときは、まだ10代でしたし、楽しみのほうが大きかったんですよ。「これから環境が変わって、どんなひとに会うんだろう」とワクワクしていました。この世界に対する憧れもありましたし。でも、だんだん「あれ? 様子がおかしいな」と思うようになって。大人の暗さやズルさに気づいていって、怖さを抱くようになっていきましたね。

さらに、自分のなかで大きくフェーズが変わったのは、赤い公園に新ボーカルとして入ったタイミングで。このときには、またアイドル時代とは違う怖さがありました。もちろん嬉しかったのですが、「前のボーカルのエッジを受け継がないと」とか、「自分はどう立ち振る舞ったらいいんだろう」とか、考えることが多くて、手放しで喜べる状況ではなかったんですよね。やっぱり最後までプレッシャーはあったなと、今改めて思います。

―― ただ、得てきた経験や音楽のエッセンスは、きっと今の理子さんの武器になっていますよね。

そんな気がします。常に新しい状況や、曲に対応していくというか、「いい意味で染まっていこう」と思ってやってきたので、柔軟性みたいなものは身についているように思いますね。

―― いちばん最初に書いた歌詞は覚えていますか?

歌詞はずっと書いてみたくて、ノートの端によく欠片のような言葉を書いていたんですけど、実際に形になったのはAoooのいちばん最初の曲でした。Aoooを組んだとき、メンバーそれぞれが歌詞を書けるので、「誰がどう書くか」という話になったんです。私はソロ以外だとなかなか書く機会がなかったので、積極的に立候補してみたら、「いいじゃん」ってみんながすぐに乗ってくれて。それで書いたのが、「アパシー」という曲です。

ひとの温もりを求め続けているけれど、不器用でその気持ちをなかなか言えない。そんな孤立した主人公の歌詞を書きました。私は子どもの頃からわりとひとりぼっちというか、今でもひとりでいる時間が長くて。だから、“孤独”から生まれる感覚を歌詞にすることが多いのかもしれません。

―― その“孤独”から生まれる感覚は、今作の収録曲「Geeek」からも感じました。

これは自分のなかの“怒り”を書いた曲でもありますね。今まで“怒り”というものをあまり書いたことがなかったんです。でも、私自身がひとりでいることに慣れているからこそ、「みんな、他者に構いすぎだよ。もっと放っておけばいいのに」と思って。当時、2025年の5~6月頃はとくに社会に対してそういう気持ちになるタイミングが多かったので、歌詞にしたのを覚えています。

―― 理子さんは、日常のなかで生まれてくる感情を歌詞にすることが多いですか?

基本的には、日常の延長線みたいなものを書いています。かなり現実的です。一方で他のメンバーは、非現実的なもの、空想的なものを書けるひとが多くて。そこは私がまだ挑戦できない、難しいところなので憧れますし、Aoooの楽曲に幅を持たせてくれていると思いますね。

―― メンバー間で、歌詞の感想を言い合うこともあるのでしょうか。

あります。でも、意見を言うというより、ファンのひとの感想に近いです(笑)。「この表現の仕方がいいね」みたいなことは、伝えますし、伝えてくれますね。

―― Aoooはメンバー全員が歌詞を書かれますが、それぞれにどんな特徴があると感じますか?

ツミキは、絵を描くように歌詞をつけている印象があります。もちろんワンフレーズごとに、繊細なところもあるのですが、抽象画というか、風景画みたいなものを描いているように感じるんです。

すりぃは、意外な単語同士を組み合わせて、斬新なフレーズやユニークな歌詞を書くことができます。唯一無二だなと感じることが多いですね。

(やまもと)ひかるちゃんは本当にピュアで、ストレートな歌詞を書いてくれます。今作の「REZO」や「スターサイン」、「CALL」でも、ひかるちゃんならではのシンプルな魅力を感じました。改めて、Aoooは個性が違うからこそ、いろいろな楽曲が生まれるんだなと思いますね。

―― 逆に、似てきた部分や、共有している核のようなものはありますか?

Aoooとしての人格や歌詞の世界観で共有しているものはないかもしれません。制約も一切ない。作り方が曲先なので、そこにどういう歌詞を乗せるかは、完全に作詞者の自由です。でも、基本的な部分として、みんな思慮深いし、言葉遊びが好きだし、常日頃から何かインプットをしているところは似ていますね。人間や社会を見ながら、考えていることがあるということは、歌詞から滲み出ていると感じます。

あと、やっぱり私が歌うことを前提としているので、「石野にこういう主人公を投影させたらおもしろそうだ」など、考えてくれている気がします。私自身も、「私が自分の口でこれを発信することで、響くものがあるんじゃないかな」とか考えますし。だから、自分で言うのも恥ずかしいのですが、“石野理子”を通すことによって、Aoooとしての統一感が生まれているというか。ひとつの共有している核になっているのかもしれません。

<123